第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「え。っと…つまり、それは…さ、盛ってらっしゃるので?」
「他にどういう意味があるんだよ」
「この見た目に?」
「だから関係ねぇつってんだろ。いい加減認めろ」
「ええぇ……ユウって性欲強いんだね…」
「三ヶ月近く我慢させられてみろ。その癖平気で男子風呂に入りやがって。お前も男ならわかんだろうが」
「いやさっぱり…さて、お酒」
「待ちやがれコラ」
戸惑いつつも神田の包囲網を潜り抜けようとする雪に、物理的な阻止をする。
掴んだ手首を背後のベッドに押し付ければ、ようやく本気度が伝わったのか、雪は眉尻と肩を下げた。
「わかった、わかりましたよっ…奉仕はあんまり得意じゃないんだけどなぁ…」
ぶつぶつと文句を言いながらも了承する雪に、しかし神田の眉間の皺は消えない。
伊達に長いことつき合ってはいない。
彼女の意図する"奉仕"がなんなのか、神田には予感があった。
「じゃあ手、放して。ユウはベッドに──」
「フェラすんのは無しだ」
「ふぇ…ら?」
「お前の言う奉仕ってのは、俺をヨくすること"だけ"だろうが」
「……駄目?」
「決まってんだろ。それじゃ自慰行為と同じだ」
「いや、多少は変わるかと…」
「俺が欲してんのは快楽じゃねぇ」
「? じゃ何」
「お前だっつってんだろ、さっきからッ」
「っう、わッ?」
痺れを切らした神田の口調が荒くなる。
同様に乱暴に胸倉のシャツを掴むと、そのまま雪の体を後方のベッドへと押し上げた。
「月城雪が感じる様が見たい。じゃねぇと納得いかねぇ」
「はっ!?ま、待ってストップ!流石にそれは…!」
「女顔の俺に抱かれるのは嫌ってか。テメェ女相手ならドキドキするんだろ、なら俺の顔だけ見てろ」
「いや!無理!ユウはそりゃあ教団公認の生粋の女顔だけど!」
「………」
「でも私はユウを女として見てないし、触れるなら意味ないし…大体っ」
押し倒されても尚、必死に抗う雪の意志はなんなのか。
訝しげに見下ろす神田を前にして、彼女───否、彼が言い放ったのは。
「私が勃たないしッ!」
「……は?」
予想を遥か斜めに飛ぶ応えだった。