第14章 Dear my doctor
櫻井side
あぁ、みんな知ったんだ…。
みんなに知られちゃったんだ…。
安堵なのかそれとも罪悪感からなのか…こみあげた涙を、感情を止めることは出来なかった。
相葉くんの目の前に座ってるのが辛くって、立ち上がり今の自分の顔を見せたくなくて…背を向けた。
溢れる涙を止められず、声を圧し殺すことさえ出来ず…。
泣くことを止めることは出来なかった。
背後から相葉くんの腕が伸びて…
俺を反転させてそのまま胸に掻き抱く。
その腕に抗うことは出来ずむしろ身を任せた。
相葉くんの白衣に俺の涙が染み込む。
相葉くんは辛かったねって言いながら俺の背中を宥めるように叩く。
A:「翔ちゃんは悪くないよ。
自分を責めないで…。
翔ちゃんが心に溜め込んだ気持ちを
外に出していいんだよ?
なにも誰にも言えずにいたら
心がパンクしちゃうよ?」
相葉くんの胸に顔を押し当てたまま相葉くんの声を聞いた。
A:「翔ちゃんは評価されたことを
誇っていいんだよ?
俺たちはみんな翔ちゃんのレギュラーを
喜んでるよ。
良かったって思ってる。
翔ちゃんが逆の立場でもそうでしょ?
みんなね、打ちきりのショックよりも
翔ちゃんのこと、心配してるよ?
翔ちゃんが自分を責めて苦しんでないか?って」
みんなの優しさが沁みる。
「俺…怖くって…。
打ちきりがショックで…
なのに俺だけ残って…
みんなを裏切ったみたいで…
評価されたって喜ぶことが
ものすごく悪いことに思えて。
レギュラーは嬉しいはずなのに罪悪感が強くて
凄く混乱して…」
ようやく吐き出した俺の気持ち。
この3日間の思いを口にした。
ずっと誰かに聞いてほしかった。
悪くないって言ってほしかった。
相葉くんの言葉に癒される。
ようやく肯定してもらえたことに安堵している自分がいた。