第14章 Dear my doctor
櫻井side
俺の目の前に座る相葉くんは白衣に聴診器でまさにドクター。
思わず笑ってしまう。
「白衣まであるの?」
相葉くんは少し恥ずかしそうに笑いながら言う。
A:「やっぱり可笑しいよね?
衣装合わせで着たときにさ、
自分でも可笑しくて。
まるでコスプレじゃん?
鏡に映る自分見て吹き出しそうで。
自分の目を慣らすために
これもね、用意したの」
って白衣の襟を摘まむ。
「そんなこと…ないよ
まるで本物のお医者さんみたいだよ」
A:「そう?だと嬉しいんだけどね?
じゃ、診察、しましょうか?」
口調はどこまでもおちゃらけてるのに目には真摯な光が見えた。
A:「まずは顔、見せて」
そういって俺の肩に軽く触れる。
暖かい相葉くんの手。
その暖かさに導かれるように顔をあげた。
相葉くんの表情が曇る。
A:「顔色、悪いね。肌も荒れてるよ。
家に帰ってこなかった3日間、
ちゃんと寝てた?」
「あんまり…寝てない…と思う
いや、でも…仕事忙がしい時と変わらないし」
つい、意地をはってしまう自分。
あの状態と仕事で忙しいときは明らかに違うのに…。
A:「ちゃんと食べてた?
なんかさ、やつれた感じがするんだけど…」
「うん?まぁ、俺一人だったから適当に食べたよ」
重ねる嘘。
でも、そんなものはすぐに綻びをみせる。