第14章 Dear my doctor
相葉side
深夜の道は空いてるからあっという間に自分のマンションに着いた。
地下駐車場に車を停め、翔ちゃんに降りるように促した。
なんで?、って顔をする翔ちゃん。
「せっかくだし、あがってよ?
ちゃんと送ってくからさ」
S:「ん、じゃ…すこしだけ」
翔ちゃんは躊躇いがちに…でも頷いてくれた。
駐車場からエレベーターで部屋のあるフロアーに移動する。
お互い無言のこの時間が少し重い。
正直、逃げたいのは俺のほうかもしれないと思う。
けど、このままじゃどんどんこじれそうで…。
それは絶対に嫌だから…。
部屋の鍵を開けて後ろにいる翔ちゃんに声をかける。
遠慮がちに入る翔ちゃん。
「こっちくるの、翔ちゃん久しぶりでしょ?
入って入って!」
出来るだけ明るく声をかける。
荷物を置いてキッチンに入る。
「翔ちゃん、適当に座って!」
S:「あっ…うん」
「ゴメンね、生放送後だし疲れてるよね?」
S:「いや、相葉くんこそ、今日の収録
朝からだったんでしょ?」
「そう、朝から。1本目は松潤とで
2本目はニノとだったよ」
冷蔵庫からビールを出して翔ちゃんの前に置く。
「はい、どーぞ。お疲れ様」
S:「相葉くんは?」
目の前に置かれた1本だけのビールの缶に翔ちゃんが不思議そうに聞くから…。
「ん?
あぁ、俺、飲んだら送っていけないでしょ?
もう遅いし翔ちゃんが泊まってくれるなら
飲みたいけど…ね?」
思案顔の翔ちゃん。
俺はそのまま寝室に置いていたドラマの脚本と聴診器を持ってリビングに戻った。