第14章 Dear my doctor
櫻井side
さりげなく?ドラマの話を振ってみた。
A:「うん、最近入ったよ、撮影。
まだ、オペのシーンとかは
撮ってないけどね。
カンファレンスのシーンとか
医療用語満載で大変。
総合医役でね、小さなことから患者さんの
不調や病気を読み取って治してくんだよ」
そう言って俺の方を向きながら訊ねる。
A:「ね?翔ちゃん、体調悪い?」
本物の医者みたいな目で俺を見る。
「いや、大丈夫だよ?」
咄嗟に誤魔化した。
村尾さんたちに言われるぐらいだもん、メンバーが気がつかない訳がない。
それでも…言えないよ。
だから誤魔化すしか無かった。
A:「ほんと?顔色、悪い気がするけど…」
メイクを落とした俺の顔を覗きこむその真っ直ぐな視線が今の俺には辛い。
「ホント、大丈夫だから」
A:「そっかぁ。そろそろ帰るでしょ?
家、帰ろ?」
そう言って俺の荷物を持った相葉くん。
「いや、今日はマンションにする」
断っても多分、負けちゃうからここは素直に従いつつも家には戻らない結論に落とした。
A:「マンションね?了解」
とりあえずいつまでも楽屋にいるわけにもいかないので相葉くんの後に付いて駐車場に向かった。