第14章 Dear my doctor
相葉side
局の地下駐車場に停めた車に乗り、汐留に車を向ける。
赤坂から汐留までは車でおよそ10分。
0時前の道路は混んでいる訳もなく、ライトアップされた東京タワーを横目に車を走らせる。
局の駐車場に車を停めた。
車を降りる前にルームミラーをチラッとみる。
そこに映る自分。
めっちゃ深刻な顔、してる。
とても笑ってられる気分じゃないけど…笑え、自分。
こんな顔してたら翔ちゃん、警戒するもんなぁ。
両手で頬をパチンっと叩いて気合いをいれる。
笑え!
気持ちを入れ換えろ!
いつものような笑顔をつくりタレントクロークに向かう。
腕の時計に視線を落とす。
まだ0時は過ぎてない。
今なら楽屋にいれば捕まえられるだろうと踏んでクロークで翔ちゃんの楽屋を教えてもらい中に入れてもらった。
この業界は時間感覚が狂ってるからこんな時間に打ち合わせと言ってもなんの疑いも持たれない。
張りつけた笑顔も多少は役になったかな?
翔ちゃんの楽屋は局で一番小さな一人用の部屋。
まぁ、常にマネージャーがいるわけじゃないから広さとしては問題ないし。
部屋ごとに鍵が付いてるけど最近、部屋のなかに大型の貴重品ロッカーが着いたから施錠しないことが多い。
俺たちがみんなで楽屋を使うときも施錠しないし…。
翔ちゃんの楽屋も同じ。
施錠されてなかったから簡単に入れた。
まぁ施錠されてたらタレントクロークにお願いして開けてもらうつもりだったけどね。