第13章 Childhood's end
二宮side
翔さんの目が優しい。
困ってる弟を見る兄の目みたい。
そんなことを思いながら
俺もコーヒーを飲む。
さてどうしよう?
自分でも整理出来てないことを
どう話したらいいんだろう?
また黙りこんだ俺を翔さんは急かすでもなく
待ってくれていた。
沈黙が支配する部屋。
そのうち、コーヒーを飲み終わった翔さん。
S:「今日の夕飯、鰤しゃぶだって
智くんの友達から鰤が届くから
みんなで食べようって。
潤も夕方には戻るみたいだから…。
やることないならあとで
準備、手伝って?」
ほんとに翔さんからなにも
言わないんだなぁ…。
そんなことを思ってる俺に翔さんが続ける。
S:「和がなにを悩んでるかは
俺にはわかんないけどさ、
ひとりで抱え込まない方が
いいと思うんだ。
例えばさ、
どっかに妥協点とかもあるでしょ?
全部OKは出来なくても
その妥協点を探れば
それなりに納まることもあるよ?」
翔さんの言葉を自分の中で噛み砕く。
妥協点…。
0か100みたいな考え方、
ついしがちだからなぁ。
S:「さて、俺、部屋に戻るね。
和はこのままいる?」
「翔さん、ありがとう。
俺、もう少しここにいるわ。
あとで話、聞いてくれる?」
S:「もちろん。俺一人の方がいい?
それともみんなが一緒の方がいい?」
ちょっと考えて答える。
「みんなが居る時にする。
まーくんとかも…気にしてるでしょ?
さっきの…」
S:「気になるならさ、
自分から声かけときなよ。
じゃ、戻るね?」
そう言ってさっさと出ていってしまう。
うちの兄貴、優しいけど…甘くはない。