第13章 Childhood's end
二宮side
勢いでリビングを飛び出したものの…
どうしたらいいかわからなくて
とりあえずオーディオルームに向かった。
オーディオルームで次のシングル用の
振り付けの映像を再生する。
大野さんの立場とか、
なんとなく行きたくないと思ってる
漠然とした気持ちとか
色んなものが頭を駆け巡り、
頭のなかがぐちゃぐちゃになる。
体を動かせば少しは紛れるかと思って
再生した振りビデオだけど…
全く頭に入ってこない。
音が流れればって思ったけど…
全然ダメで…。
「はぁー。どうしたらいいかな?
そりゃさ、
素直に行けばいいんだろうけど…
なんか…引っ掛かる」
大きなため息と共に独り言ちる。
ほんと、自分でもわからないけど
今回は行きたくない気持ちが先行する。
「あぁ…もう!」
イライラする気持ちをそのまま吐き出す。
それでなにかが変わるわけじゃないけど…。
オーディオルームのソファーに座ったまま、
動けなくなっていた。
どれぐらい経ったのか…。
振り付けの映像は
とっくに終わってたみたいで
プレーヤーの初期画面が無音のまま
画面に映されていた。
ソファーに凭れた体を起こし、
リモコンを動かそうとした時、
ガチャっという音と共に
オーディオルームの重い扉が開いた。
驚いて俺は体を竦ませた。