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【目を背ける話】

第2章 出会い


お兄ちゃんが死んだ。

それが現実なのかすら僕にはわからなかった。

お母さんもお父さんも相変わらず家には帰ってこない。

お母さんは知らない男の人と。

お父さんは仕事、らしいけどどうだか。

一人でいるには広すぎる家。

それが余計寂しかった。怖かった。

訳のわからない事ばかり起こっているようだった。

自分だけがどんどん闇の中に引きずり込まれてるようだった。

そう考えると止まらなくて、また悲しくなる。

外に、人がいる所に行きたくて家を飛び出した。

時刻は23時前。

空は真っ暗なはずなのに、さすが都会なだけあって外はそれなりに明るかった。

もっと明るい場所へ行こうと、駅の方に向かって歩き出した。

そこへ行ったからって何があるわけでもないのに。
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