第2章 出会い
「いや、あの帰らないといけないし」
「ごめんね」
その瞬間、視界がぐるっと回転する。
一瞬何が起こったかわからなかった。
コノハさんに担がれていた。
「ここコノハさん!離してください!!」「ここコノハさん!離してください!!」
無表情で無言のコノハさん。
いや、無表情なのは元からなんだけど、今この状況だと余計不安になる。
ていうか、出会って数分の人にこんな夜中にどこかに連れて行かれるなんて冗談じゃない。
逃げようと暴れるも、コノハさんの力は強くて逃げ出せない。
「おい、コノハちゃんと歩いて帰ろうな!な!!?」
シンタローさんが必死にコノハさんに話しかけている。
なんだろう、コノハさんは走って帰るつもりなんだろうか。
で、シンタローさんは走るのが苦手だから拒否してると...そういう事でいいんだよね。
この嫌な予感は気のせいだよね。
「おい、やめろ!まじで頼むから!!」
そう喚くシンタローさんをコノハさんは反対の脇に抱える。
やっぱりすごく嫌な予感がする。
「気を付けて下さい!!えっと...名前まだ聞いてませんでしたね」
シンタローさんのポケットの中からエネの声が聞こえる。
「あ、僕の名前は優月です」
素晴らしいくらいの嫌な予感に、僕は怖いくらい冷静に答えていた。
そして体が浮かび上がる感覚を覚える。
その後はよく覚えていない。
いつの間にか室内にいた。たぶん気絶していたのだろう。
まさか、飛ぶとは......。
ていうか、コノハさんは人間なのだろうか。