第1章 覚醒
はい、まあそんな訳です。
そんな感じで終わったんです。
はい、8月15日でした。夏休みだからお兄ちゃんと出かけてたんです。
強盗さんは中々出てこないお金に痺れを切らしたみたいでした。
たまたま、僕が一番前にいたんです。
不幸体質......なんですかね。わかりません。
そうです、お兄ちゃんは僕を守ろうとしたんです。
そりゃ、一時期は荒れてましたが一年くらい前の話です。
今は普通にとてもいいお兄ちゃんで...だから、こんなの信じられなくて。
しかも僕、お兄ちゃんに守ってもらったのに刺されましたしね。
それからの事はよく覚えてません。
たぶんショックで気絶したんじゃないかと思います。
気がついた時には警察が強盗を取り押さえた後でした。
ああ、あとそれからショックだった事がもう一つ。
僕が起きる前にお兄ちゃんの遺体は回収されたみたいで、顔を見ることも出来ませんでした。
んか、そんな人はいなかったとかって言うんです。
それって変ですよね。お兄ちゃんは確かにそこにいたはずなのに。
もしかしたら、もう避難したのかもって考えたりもしました。
でも、あの優しいお兄ちゃんが僕を置いていくはずが無いんです。
まあ、それで、その日からなんだか不思議な事が起こるんです。