第26章 6つ子と、私。【ノーマルEND】
こ、これは、大事になる前に止めるべきだよね?絶対みんな勘違いしてるし。
「あ、あの、みんな」
私がおずおずとみんなの間に割って入ると、彼らの動きがピタッと止まる。
「私、里帰りって言ってもほんとにただの一時帰省っていうか…何も、もうここに戻ってこないってわけじゃないよ?」
「「「「「「!!」」」」」」
ビシッ!と、亀裂の入ったような音が彼らから響き渡る。ああ、やっぱり誤解させちゃってたんだ、私…
「……じゃ、じゃあ、なんでMINEの返事してくれなかったの?電話も繋がらなかったよ?」
「ご、ごめん、実はあのメッセージを書いたあと、充電が切れちゃって…電話が繋がらなかったのもそのせいなの」
「!!」
「…元気でね、っていうのは?」
「いつ帰るかは未定だったから、その、一応というか。多分2、3日の間には戻ってくる予定だけどね。仕事もあるし」
「!!」
ああ、どうしよう。電車はもう来てるし、出発までもう時間がない。
「ご、ごめんねみんな。詳しい話は向こうに着いたらまた連絡するから、その時に…
「絵菜!」
電車に乗り込もうとする私を、おそ松くんが呼び止める。
「なんていうか…早とちりして悪かった!連絡待ってるから、気を付けて行けよ!」
「親父さんとは久方ぶりの再会なんだろう?ゆっくり話をするといい」
「時間が許す限り、楽しんでおいで」
「…お土産、楽しみにしてる」
「友達にも会えるといいね!」
「ちょっぴり寂しいけど、君が笑顔で過ごせることを祈ってるよ」
「おそ松くん、カラ松くん、チョロ松くん、一松くん、十四松くん、トド松くん…」
みんなが、笑顔で私を見送ってくれる。
なんて…なんて優しくて、あたたかい人たちなのだろう。
彼らと出会えたのは、偶然ではなく、きっと必然。それこそ、運命だったのかもしれない。
本当の意味で前向きな私を取り戻せたのも、彼らのおかげなのだから…
「みんな、ありがとう!いってきます!」