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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第25章 幸せに咲く花【トド松END】





「…うん」


「何か聞いた?僕のこと」


「……うん」


「そっか…」


気まずい沈黙が流れる。


謝らなきゃ、と思うのに、言い出せないもどかしさ。…だって私はまだ何も知らない。彼の抱えている厄介なものがなんなのか、彼の口からちゃんと聞きたいんだ。


…やがて、トド松くんは語り始めた。


「…単刀直入に言うと、僕、自分にすごく自信がないんだ」


「…自信が、ない?」


意味が分からず、首を傾げる。私の中の彼のイメージは、むしろ真逆なんだけど…


「あはは、うん、意外だよね。でも実際そうなんだ。…虚勢を張っているだけなんだよ」


「!…」


「常識人であろうと努力してるのも、流行に乗っ取ろうとしてるのも、他人と常に交流関係を築こうとしてるのも…全部、僕自身が周りから少しでもよく見られたいだけの、無駄な足掻きに過ぎないんだ。本当に自分に自信がある人は、いちいちこんなことしないでしょ?」


…答えることができない。


彼は構わず続ける。


「なんで僕が君を避けるような真似をしていたか…それは、君に釣り合わないと思ったからだよ。君の存在は、僕には眩しすぎる。友達のままならきっとこんなに悩まなかったんだろうけど…取り返しがつかなくなる前に、僕から身を引こうと決めた。



絵菜ちゃんのことが…好きだから」


「!!」


…これは、夢?それとも、現実なの?


彼は今確かに、私のことが好きだと言ってくれた。


嫌われているどころか、私と同じ…本当は両想いだったの…?


「…泣かないでよ、絵菜ちゃん。この話にはまだ続きがあるんだ」


「あ…」


いつの間にか溢れていた涙を、トド松くんが指で優しく拭ってくれる。


「好きだから…どうしようもなく好きで、君に本気で恋をしてしまったと気付いたから…自信のない僕は、君から逃げ出したんだ。さっきあんな冗談を言ったのもわざとだよ。これまでは連絡を取らないことで距離を置いていたけれど、再会してしまった以上は誤魔化しようがなかったから…いっそ君に嫌われてしまえば楽だと思ったんだ」


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