第21章 君の瞳に映るのは【カラ松END】

でも、彼はただ手を重ね合わせただけだった。大きな手のひらが、私の手をすっぽりと覆って包み込む。


「…絵菜」


「…うん…？」


「どうやら俺は…俺自身を、よく理解していなかったみたいだ」


「…え？」


「俺は…独占欲が強いらしい」


「…！！」


引っ張られたと思った直後、体を塀に押し付けられる。


痛くはない。でも、カラ松くんの瞳を見て、背筋に緊張が走った。


…かっこつけてる彼でもない。優しい彼でもない。


誰よりも男らしくて…まるで獣のように獰猛な…


「…絵菜。愛してる」


「！」


「だから…君には、俺だけを見ていてほしい」


口調は柔らかいけれど、有無を言わさない、そんな緊張感。


「…うん。カラ松くんだけ見てるよ。大好き、カラ松くん」


「っ絵菜…！」


重なる、唇。…ううん、貪られる、といった方がいいかもしれない。


普段の彼からは想像もつかないほど、熱く激しいキス。息をつく暇もなく、私はただただ愛しい彼との接吻を受け入れた。


やがて唇が離れると、二人の間に銀の糸が紡がれる。乱れた呼吸を整えながら、私は彼と視線を合わせた。


「カラ…松、くん…」


「…すまない。歯止めが効かなかった」


しゅんとするカラ松くん。とてもあんなキスをした人とは思えず、私は少しだけ口元が緩んでしまった。


「ううん、謝らないで。…カラ松くんにキスされて、嬉しかったから」


「っ…！」


再び、口付けられる。今度はさっきのような獰猛さはなく、触れるだけの、甘いキス。


「ん…」


「…絵菜。好きだ、愛してる。これからもずっと俺の傍にいてくれ。君を必ず幸せにすると約束しよう」


「うん…私も、ずっとあなたの傍にいたい。愛してる…カラ松」






ねぇ、カラ松…あなたは、自分が独占欲が強いだなんて言うけれど、それは私だって同じだよ。


もしあなたが誰か別の女の子と一緒だったら、きっとまた嫉妬してしまうもん。


…でも、もう大丈夫。


お互いを想う気持ちは、誰にも負けない。だから、


これからも、私を愛してね。私ももっと、あなたを愛すから…―






《Happy End》