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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第20章 繋がる想いは永遠に【おそ松END】





【絵菜side】



午前10時。私は職場のデスクでカタカタとパソコンに文字を打ち込んでいた。


この仕事に就いてから、はや半月。慣れたといえば慣れたし、苦ではない。


人間関係でも今のところ特に難はなく、先輩や上司ともそれなりにいい関係を築けていた。


…ただ一人の男を除けば。






昼になり、私は持ってきていた弁当を鞄から取り出す。その時、すぐ背後から声がした。


「へぇ、今日も手作り弁当?笹倉さんって本当家庭的だね」


「ひゃっ!?」


話しながらいきなり上から覗き込まれ、びっくりして奇声を発する。ま、またこの人…!


私は弁当を抱えて振り向き、キッと声の主を睨み付ける。


「もう、榊さん!毎回びっくりするじゃないですか!」


その男性…榊さんは先輩の一人。歳は5つ上。仕事ができて人当たりもよく、職場の中での周囲の好感度はかなり高い。私も入社初日から仕事についていろいろ教えてもらったりしているため、一応尊敬も感謝もしている。が…


どうもこの人は苦手だ。嫌いとはまた違う。ただ、この人の所作や性格が、どことなくあの男に似ている気がして…悪い人ではないだろうけど、とにかく苦手だった。


なのに、本人はなぜか毎日私に構ってくる。部長から教育係に任命されている以上仕方ないにしろ、こうして休憩時間になるとほぼ必ず私の元にやってきて弁当チェックをしてくる。…多分、いちいちあんなリアクションを取ってしまう私が面白くてたまらないんだろう。


「ははは、そう睨まないでくれよ。別に弁当せがんでるわけじゃないんだからさ。君の反応は面白いな」


ほら、やっぱり!驚きやすい自分が恨めしいよ…。


「ほ、ほら、こんなことしてたら休み時間終わっちゃいますよ!自分の席に戻ってください!」


「はいはい、手厳しいな君は。ああ、そうだ」


彼はそっと私に耳打ちした。


「…今日仕事終わったら、休憩所に来てくれないかな。何時になってもいいから、待ってる」


「!え…」


どういうことかと聞き返そうとしたが、榊さんは足早に自分の席に戻っていってしまった。


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