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【おそ松さん】本気の恋と、6つ子と、私。

第18章 運命の人





***



とある路地裏。野良猫に餌をやっていた一松は、背後に何者かの気配を察知する。


「…誰?」


「あ、気付いちゃった?驚かせようと思ったのにー」


この明るい声の主は、知ってる中では一人しかいない。


「…十四松か」


「うん、僕だよ!」


「なんか用?」


猫を眺めながら、一松は問う。


「うん、えっとね、一松兄さんに聞きたいことがあって来たんだ!」


「…何」


「一松兄さんは、絵菜のこと、好き?」


十四松のセリフに、びくっと肩を震わせる一松。十四松は笑顔のまま、彼を見下ろしている。


「……十四松は?」


「僕?大好きだよ」


「……そ」


「一松兄さんは?」


「……好きか嫌いかで言ったら、好きだけど」


「じゃあ、好きか大好きかで言ったら?」


「……お前、俺に何言わせたいわけ?」


「いいからいいから」


しばらくの間を置いて、一松はぼそっと呟く。


「…………お前と、おんなじ」


「大好き?」


「…ん」


「そっかぁー」


相変わらずの能天気な声に、一松はチッと舌打ちする。そしてようやく、振り向いて十四松に顔を向けた。


「だから、何」


「ううん、一松兄さんの気持ちが知れて、よかったなぁーって」


「……あっそ。それだけ?」


十四松は首を傾げる。どうやら本当にただそれだけのことだったらしい。


一松は立ち上がって、十四松の元に歩み寄る。


「…帰ろ。もうすぐ夕飯だし」


そのまま通り過ぎようとした時、


「一松兄さん」


十四松に名前を呼ばれ、一松は歩みを止める。


「僕、本気だよ。でも、ライバルになるのは嫌なんだ。だから、これからも仲良くしてくれる?」


「……好きになった相手が同じだからって、兄弟のこと嫌いになるわけないだろ。くだらないこと言ってないで、早く帰るぞ」


その言葉に、十四松は嬉しそうに瞳を輝かせ、再び歩き始めた一松を追って走り出した。


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