第8章 想い
安田「大倉??」
大倉「ヤスっ‼」
病院に着きヤスの姿を探していると、ヤスの方から声をかけてきた。
大倉「ちゃんは??」
安田「さっき目を覚ました」
大倉「よかった…」
無事だったという安心感から全身から力が抜けフラフラとソファーに腰かけた。俺に向かい合うように真剣な顔をしたヤスが腰かけた。
大倉「すぐに来れんくてごめんな」
安田「それはちゃんに謝ってや。…それより、前に大倉に月歩ちゃんのこと聞いたやんな??」
大倉「おん…」
安田「ホンマに、あの時から変わったことあれへんかったんやんな??」
大倉「…どういうこと??」
安田「ちゃん、月歩ちゃんに呼び出されて階段から突き落とされてん」
大倉「突き落とされた…??」
安田「原因は大倉や」
大倉「俺??」
安田「おん。大倉が月歩ちゃんと結婚するのにちゃんのこと気にかけてる。やから、大倉の前から消えてって」
大倉「結婚??俺、そんな約束してへんで??」
安田「してへんくってもそんな素振り見せてたんちゃうん??」
大倉「そんなんしてへん。俺、ずっと前からいってるやん。記憶戻るまで誰とも付き合わへんって」
安田「なら、なんでこんなことになんねん‼」
大倉「そんなん言われても…」
安田「あの時やってそうやった‼ちゃんのこと幸せにするって約束したから、俺は諦めてん。なのに、ちゃんのこと忘れて苦しめて、今度は中途半端な態度とって傷つけて…。どれだけちゃんのこと苦しめたら気がすむねん‼」
大倉「…」
安田「苦しめるだけやったら、ちゃんから離れてくれや…(泣)」
ヤスは涙を拭いながら病室の方へと歩いていった。
そんなヤスの後ろを追いかけることが今の俺にはでけへんかった。ヤスの涙を見て自分がどれだけたくさんの人を苦しめて傷つけているのかという現実を叩きつけられて一人で涙を流した。