第1章 再会の手紙
大学を卒業して、誰もが羨むような会社に勤め始めた。
この春で丸5年。はい、アラサーです。
同級生の中には結婚して子供もいる人もいる。
私も、それなりに恋をしてきた。
大学の先輩や紹介してもらった人。
でも、結婚まではいかなかった。
その人が好きじゃなかったとかじゃない。
付き合ってるときは、自分なりにちゃんと向き合ってた。
そう思ってたのは自分だけだったのかもしれない。
「俺のこと、ちゃんと見てる??」
知らず知らずのうちに、彼を重ねてしまってたのかもしれない。
私は彼とはもう笑い合うことはない。
そう頭では分かっていても、彼の面影を探してしまう。
そんな封印した想いを思い起こすような出来事が起きるなんて、今の私には想像出来なかった…。