第4章 君を知るには
私は駅に向かって歩いていた。
(これからどうしよう。とりあえず家に帰ればいいのかな?あ、でも、電車...止まってないといいな。)
おもむろにスマホを取り出そうとした、その時、
「おねーちゃん!」
制服のスカートを引っ張られた。下を見ると、あの少年がいた。
「あ、えっと...」
どう説明すればいいのかわからなかった。食べられてしまったかもしれないなんて言ったらこの子はどんな顔をしてしまうのだろうか。そう考えると、とても怖かった。
「ありがとうございます!うちの子を助けてくれて!!」
その後ろには少年の母親がいた。
「あ...!」
安心したあまり、声が出なかった。しかも腰が抜けてその場で座り込んでしまった。
「おねーちゃん、あのときはありがとお!おねーちゃんもぶじで良かったあ!!」
少年は満足そうな顔をしていた。ああ、良かった。私はちゃんと助けられたのだ。幼い少年を。この手で。あまりにも嬉しくて涙が出そうだった。
「ありがとお!ばいばい!」
「うん、元気でね!」
何度も母親はお辞儀をしながら歩いていた。途中で人にぶつかっていたが、それでも頭を下げ続けていた。