第28章 松野ちゃん、おそ松くんとのやりとり
「あー……そういえば……」
私はそのことをすっかり忘れていた。
「なーに、まさか忘れてたの」
顔や表情は見えないが、雰囲気からしておそ松くんにバカにされたような感じがした。
「はいはい、忘れてましたー。てかなんで電話かけてきたの?」
「そりゃだって花火大会のことなんも決めてねーじゃん……」
(あっ、ナイスタイミング!)
「そんでどうしよっか?」
おそ松くんは私に問う。
「んー……やっぱ折角だし屋台も回りたいよね?」
「んなもあったりめーじゃん! 小遣いの方は大丈夫だし」
「じゃあ5時に最寄り駅前集合でいいかな? 他、分かりやすいところあったりする?」
私は学校近くのことはあまり知らない。だからこそ、地元民のおそ松くんに頼ってみた。
「んー……俺も行ったことねーから分かんないけどまあいいんじゃね? じゃあそう伝えとくわー」
「はーい。わざわざありがとね」
私はおそ松くんにお礼を言うと、
「いやいや……そんじゃ楽しみにしてっから。それじゃぁ……」
「うん……あっ、待って!」
「ちょっ……いきなりなに?」
ギリギリ電話は切られていなかった。私は女の子との約束を思い出し、話してみることにした。