第19章 松野たちのすれ違い
「うわっ! チョロ松……」
おそ松くんは驚き声をあげた。
「はぁ……勉強してると思ったら……」
チョロ松くんは呆れてため息をつく。私は今の状況をどうにかしようと、
「あの違うの! おそ松くんは何も悪くなくて……」
「いや、松野ちゃん。これは俺が悪いから」
とおそ松くんが私が言い終わる前に話し出した。
「だって俺がそれに書いとけばすれ違いになることもなかっただろ?」
と言いながら、六つ子一覧表を指差す。
(そういう問題じゃないと思うけど……)
「まさかお前……松野さんに……」
チョロ松くんは動揺して話す。すると、
「ああ、今言ったよ。お前がドルオタだってことをな。だって何も隠す必要なくね?」
おそ松くんはさらっと言う。チョロ松くんは恥ずかしさのあまり、照れてからおそ松くんを睨み、
「お前、今日で数学の公式全部覚えるまで家入れてやんねぇ」
冷たく当たった。
「えー! てかなんでそんなに隠したがるんだよ」
おそ松くんは口を尖らせ言う。
「だって……」
チョロ松くんはまた照れながら言う。私は、
「まあまあ……私は別にチョロ松くんがアイドルオタクでもひかないから……」
と場を収めようとした。しかしその後の2人に喧嘩が絶えることはなかった。私はもう諦めつつ、クスクスと笑った。
(これでまた、普通に話せるよね)
いつもの日常が帰ってきた。