第19章 松野たちのすれ違い
「おそ松くん、行こうか」
「おう」
次の日の放課後、昨日チョロ松くんに誘われた勉強会。帰りのHRが終わるとおそ松くんと2人で図書室へ向かった。向かう最中、会話はない。
(凄く気まずい……)
そう思っていると図書室はすぐ目の前だった。室内に入ると、まだチョロ松くんの姿は見当たらなかった。そして生徒も誰もいなかった。私たちは長机を挟み、向き合って椅子に座る。
(やっぱ凄く気まずい……!)
おそ松くんは、
「数学だよね」
と言いながら筆箱はもちろん、教科書とノート、そしてワークなどを鞄から取り出す。
(うわ……筆箱とか全部持ってきてる。意外だな……でもロッカーに入れてるなら普通か)
そう思いながら私も教科書などを鞄から取り出した。教科書をパラパラとめくるおそ松くん。いつもとは違う、随分と穏やかな顔つきであった。