第15章 おそ松くんとの距離
「そうだ! じゃあさ、何かプレゼントしてみたら? そしたらそれきっかけに何か話せるかもしれないし……」
女の子さんは急にそう話し出した。
(プレゼントか……)
私は今まで男子にプレゼントをあげたことがない。なので突然、プレゼントと言われてもいまいちピンとくるものがなかった。
(あっ、でも……)
「じゃあリストバンドとかどうかな……だっておそ松くん、六つ子だからさ。リストバンドの色とかで見分けが付けられるの。ほら、鞄の色でさ」
我ながら名案だと思った。けれど、
「でもそれって、あげるのおそ松くんだけじゃないってことだよね?」
(あっ……)
思えば私はおそ松くんとまた気軽に話せるようになりたかっただけ。六つ子のことは何も考えていなかった。だからこそ、
「そっ、それは口実! 六つ子のみんなにあげてから、それきっかけで話せたらいいなーって思ったんだよ」
私は後付けで女の子さんに話した。
「うん、まあそれでいいんじゃない? とにかく頑張んなよ!」
女の子さんはにこっと微笑み、私の背中を押してくれたように感じた。