第12章 止まない雨@高尾和成
だから、今の状況は高尾にとってありがたいものだった。
雨の校舎。2人きりの放課後。…そこから始まる恋。
なーんて、どっかの少女漫画みてぇだな。
高尾は心の中でそう独白し、隣の彼女を盗み見た。
ずっと隣に居たい。手に入れたい。触れたい。好きだ、と言ってもらいたい。それが叶ったのなら、彼女は自分のものだ、と周囲に自慢して回りたい。
恋情が起こす欲望は止まらない。それこそ、恋心が消えて無くなるまで。
この恋を叶えなければ、欲望に押しつぶされて、自分が自分でなくなってしまうのではないか……と、高尾はそう感じられて怖かった。
——この恋を叶えたい。
美心ちゃんに、振り向いてもらいたい。
どんな男でもなく、俺だけを見ていてほしい。
…この気持ちがこんなに大きくなっちゃうなんて、想像もしてなかったな。