第11章 白に指環@影山飛雄
「美心」
「ん?なぁに…」
影山は美心の左手を取り、薬指の爪に優しく口付けた。
音のない口づけ。だがいつもと違う雰囲気に、美心は真っ赤になる。
自然と出た行動、という感じだ。
「飛雄くん…っ」
「…俺、白好きだから」
そう言って、もう一度口付ける。今度は爪から付け根へと、ゆっくり唇を這わせた。“俺のものだ”と言うかのように、優しく、愛を込めて。
「うん…だから白にしたの」
美心は顔を真っ赤に火照らせた。影山の舌が指に当たり、くすぐったさと恥ずかしさで顔を背けた。
影山は最後にチュッと音を鳴らし、唇を離した。
2人はなんとなく目が合い、羞恥でどちらともなく目を逸らした。
チラッと美心を盗み見た影山は、ぷくりと桃色に色づいた唇に気がつき、思いがけない衝動に駆られた。
「ッ⁉︎とびおくっ………!」