第16章 4月1日の罠@緑間真太郎
「何よー、また嘘つく気………⁉︎」
右耳に、温かい感触。
触れたのは緑間の唇だった。
「みどっ……!」
「…すまん。
告白が本当だと証明するのには、これしか思い浮かばなかったのだよ」
今度は美心が顔を赤らめた。照れと驚きを隠せず、くすぐったさの残る耳に手を当てた。
ここに、キス…された?
美心は照れ隠しに彼をキッと睨んだ。
「それ、私が緑間の事好きじゃなかったらどうするのよ!」
「それは『私も好き』という解釈でいいのか?」
「っ…緑間ぁ!」
形勢逆転、というのか。
先程とは立場が反転し、不意を突かれた美心は出し抜かれたような気分だった。
それとは逆に、美心も自分と同じ気持ちだったのだと“改めて”分かった緑間は、嬉しさのあまり思わず頬を緩めていた。
「バカめ。お前が俺を好きだなんて、最初から知っていたのだよ」
「…え、は?なんで⁉︎」
「…高尾から聞いたのだよ」
「…あんにゃろー!」
次会ったらぶっ飛ばしてやる。
拳を鳴らす真似をしてから、美心は緑間と目を合わせた。
緑間は1つ咳払いし、口を開いた。