• テキストサイズ

【おそ松さん】先生と松野くん

第1章 交換条件




帰り道。


一応学校を出る前にまわりを確認してみたけど
人一人いない。


松野君は送ってくれるなんて言っていたけれど
私は断った癖にほんの少し期待していた分寂しくなった。



「ばっ!!」


「きゃっ!!」



いきなり目の前に松野くんは現れた。
驚いた私はつい身構えてしまった。

それを見て「大成功」と笑った松野くんの頬を軽くつねった。



「いでででっ…怒った?」


「もう、送ってくれなくていいって言ったのに…。」


「そんなこと言いつつほんとは嬉しかったり?」



そのにやけた顔にため息をつくと
口のうまい松野くんに言いくるめられ
結局家まで送ってもらうことになってしまった。



「先生、鞄貸して」


「鞄?」



言われて肩から下げていた鞄を差し出すと松野くんは
自分の肩に私の鞄を下げた。



「俺が持つわ」


「!!、それくらい自分で持てるから、大丈夫だよ」



そう言って鞄を取り返そうとするけれど
ひょいと避けられてしまう。



「自分の鞄だって持ってるのに重たいでしょ?」


「だいじょーぶ!体操着とか弁当箱しか入ってないから!」


「教材は…?」


「置き勉。」



彼らしい答えだった。
私の鞄は返してもらえそうにないのでお願いすることに…。



「お母さん大変だね、毎朝6人分のお弁当作って…。」


「あ~…確かに。先生も弁当?」


「うん、残り物ばっかりだけどね」



そう答えると彼は少し考え事をするそぶりをすると
思いついたように「そうだ!」と元気のいい声をあげた。



「明日から俺のぶんの弁当も作ってきてよ!」


「ええ?…私が松野くんの?」


「そうそう!ねえ頼むよ~一生のお願いっ!」


「ひとりの生徒に特別なことをするのは
教師としてだめなことだから…」



もっともな事を言えば松野くんは
駄々をこねたような声をあげた。
でも決まりは決まりなのだ。



「わかった!俺は毎日先生を送り迎えする代わりに
先生は毎日俺に弁当作る!どう?完璧じゃない?!」


「嬉しいけど、送り迎えも大丈夫だからってば…」


「先生もなかなかしぶといなー…」



そんなことを話しているうちに私の住んでいる
マンションに着いた。
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp