第5章 すれ違い
「あ、遅いぞカラ松~!お兄ちゃんのど乾いちゃっただろー?」
「い、いや…それが…」
「なに?…って、お前!!なんでそれ持ってんだよ!!!」
カラ松の右手には俺が頼んだジュース。
左手に下げられていたのは見覚えのある紙袋…。
「さっき階段で先生とぶつかったんだが…」
「先生がこっち来てたの?!」
「そ、それが…泣いてたんだ…。」
「っ…!!、俺、ちょっと行ってくる!!!」
階段を段飛ばしで駆け降りながら携帯の電話帳を開き、
先生の名前を探す。
「くっそ、俺そういえば先生の番号知らねぇし…!!」
一方的に電話帳に追加させて以来、
先生から電話がかかってきたことは一度もない。
下駄箱に先生の靴はなかった。
きっともうマンションに向かってるんだ。
俺は全速力で走った。
夜勉強してて朝寝坊して迎え行けなかったし、
昼休みもあいつらが邪魔して保健室いけなかったし、
なんか先生俺に怒ってたし…
てか、なんで泣いてたんだ?
あいつにまたなんかされたとか?
先生が心配で、不安でとにかく走った。