第1章 勧誘
『ねぇほたる。でもそれって、中学の時の話でしょ?』
「………は?」
静かな中口を開けば、ほたるは眉を寄せて怪訝な顔をしてきた。
他の皆に関しては、何だか驚いたように私を見ている。
…そう、そんなの中学の時のことだ。
私だって中学では色々あった。
だから高校では静かにしていようって決めた訳だし。
そう思って私はそのまま話し出した。
『過去は過去、いくらどんなことがあっただろうと今は今っていう時間があるの。いつまでも過去のことを言うなんて、その方が駄目なんじゃないの?』
「………………」
当たり前のことを、私は言った。
私だって、もしこの場に同じ中学の人がいたら、その人の印象で私のことは説明されるだろう。
だから、いつまでも過去にとらわれる方が私的にはカッコ悪いと思ったのだ。
そんな私の言葉に影山は驚きながら私を見ていた。
そして、ほたるは物凄く嫌そうな顔をしている。
「そ、そうだそうだ!その方が駄目だぞ!」
すると、静かだった体育館が翔陽のこの言葉によって崩された。
他の皆もうんうんと頷いてくれる。
ほたるは私の言葉に怒ったようで、向こうへ行ってしまった。
…言い過ぎたな…
だけどこれは、私の本音だった。
「ツッキー!!あの、さ…多分さん悪気があった訳じゃ──」
「あぁいう奴…ほんとムカつく」
そして、こんな会話をしていたなんて勿論私は知らない訳で、ほたるには嫌われてしまったと思い込んでいた。
だって、マネージャーの分際で言い過ぎたから。
だけど、これから私は私なりに頑張っていこうと決めた。
─その矢先の出来事だった─
「組めた!組めたよ!!」
『?』
突然、異常な空気だった体育館に先生らしき人が凄い勢いでやって来たのだ。
そして、何かの紙を持ちながら先生は顔を上げて嬉しそうにこう言った。
「練習試合!相手は──
青葉城西高校!!!」
『えっ……青葉城西……?』