第3章 黒子テツヤの双子の話
「ちゃおッス」
いつの間にか、机の上に赤ん坊が座っていた。
わざとの前に座っているかのような姿勢に、テツヤは立ち上がるとそばに立った。
「!!
…おめーが、黒子トウヤの双子の兄。
テツヤか」
「誰ですか、あなた。
ただの赤児にしては、口が達者です」
「俺はー」
「赤ん坊!!
てめ!
何してやがる!!」
遠くにいたはずのトウヤが走ってきた。
そして、テツヤとの間に入ると赤ん坊を睨みつけていた。
「何言ってるんだ?
おめーが入ってるファミリーの勧誘に決まってるだろ」
「俺は入ってないし、これかも入る気はない!
俺の大事なやつらに手を出すな!!」
目の前で起きる討論に、いつの間にか人だかりが出来ていて、その中にはトウヤが置いてきただろう沢田たちと、ゲームが終わったのだろう青峰たちがいるのが見えた。
誰1人口を開かない。
だが、そんな平穏が一瞬にして壊れた。
ドーン!!!!
どこからか爆発音が聞こえてきた。
それと同時に沢田へと、何かが飛んでくる。
だが、彼が避けれるわけでもなく、そのまま飛んできた人と共に地面に倒れていた。
「う"お"ぉい!!!」
そちらへと視線を動かす前に聞こえた人の声は、キーンと金切り声で。
咄嗟に耳を塞いだものの、どこか這いずる音に威圧を感じていた。
「なんだぁ?外野がゾロゾロとぉ。
邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!!」
視線を動かし、ビルの上に立つ人物をとらえた。
銀色の長い髪。
黒い洋服を纏い、その手には刀が握り締められていた。
その表情は、獲物を捕らえたような瞳で、じっと沢田のそばで倒れている人物を見ていた。