第2章 赤司征十郎の双子の話
「おい、赤司」
「お疲れ様です。
帰ります」
「まだ部活が」
「終わってます」
「ジャージは」
「あぁ、ありがとうございます。
いただきます」
「あの女の子は」
「それじゃあ」
聞こえてきた問いに、すらすらと答えていった。
だがのことは言わない。
言う必要がない。
バッグに詰め込み、置いてあったジャージを羽織り外に出た。
まだいる女子からの視線に統四郎は、無視を決め込み、離れた場所にいる彼らの元へと戻るために急いでいた。
「しろちゃん!」
手を振る愛しい人の、手を握る。
満足そうな笑みを浮かべる彼女を見るだけで、統四郎は試合の疲れが飛んでいた。