【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第4章 1次試験
「薬の盛り方がまるでなってませんし」
会ったばかりの人に何かを渡すということは、裏があると勘繰られても仕方がないこと。
缶を注意深く観察すると、薬物を混入させた時に出来たと思われる小さな穴があった。
「これ、お飲みになりますか?」
近くにいた男性に声をかけた。
「あ、ありがとう」
受け取るなり男は躊躇いもなくグビッとジュースを飲み干した。
話にならない。
警戒というものがまるでない。
この場に居る全員を殺めるのはとても簡単そうですね。
ふぅ…と溜め息を吐いて、続きを読み始めた。
「それ、好きなのか?」
突然隣から声がした。
「驚かせてすまない。
その本が少し気になってな」
サラサラと黒髪をなびかせ、額に布を巻きつけた男性が声をかけて来たのだ。
不覚…隣に居たのに全く気づかなかった。