第8章 去れど一難
声が出ない。
出せる酸素が足りない。
あれから何回握られただろう。
苦しい、死にそう、タスケテ。
貴)「ひっ……!!!
ぃ、_____________っ!!!!」
情けなく、涙はボロボロと溢れ落ちて止まらない。
肩で息をしていたのに追いつかず、もう呼吸を諦める。
ロ)「で、どうだ?
もう俺から頼む気はないが…
…………何か頼むことが出来ただろ?」
しゃがみ込んで、楽しそうな声色で聞かれた。
やめてクダサイ
痛いのはイヤダ
呼吸がシタイ
死にたくナイ
タスケテ
嫌だ、イヤダイヤダイヤダイヤダ
貴)「……だ、…」
ロ)「聞こえねぇ」
貴)「っだ、れ…が…、…まえ、な…かに…!!!!」
睨んで、掠れた声で。
途切れ途切れだけど、もういい。
誰がお前なんかに!!!!
相手が何も言わず、何もしない隙に空気を吸い、咳き込む。
咳き込んでいる場合じゃない。
早く息を整えないと…
…なんて、考えていた瞬間。
今までで一番強い痛みに襲われて。
私は意識を手放した。