第8章 去れど一難
シ)「せ、船長…やりすぎじゃ…」
今までの光景を見ていたシャチが恐る恐る声をかける。
あまりにも苦しそうで。
たとえ海賊の拷問だとしても相手は女。
いつも船長の意見に否定しないペンギンもどこか困惑の表情を浮かべていた。
ロ)「黙ってろ」
そんな2人を一言で黙らせるとクレアの心臓を放ってシャチに渡す。
ロ)「起きて騒いだらそれで黙らせろ。
拷問は俺がする」
ペ)「…いつまでやるつもりですか?」
ロ)「こいつに聞け。
仲間に入るか死ぬか……選ぶまでだ。」
そう言い放ち、ローは部屋から出て行った。
_____________________
あれから数日がたち、それでも尚拷問は続いた。
もう精神も身体も、限界を迎えようとしている。
貴)「も…、やっ、かはっ…、…ひ、」
過呼吸を何度も繰り返しその場に泣き崩れるクレアを見下す様にローは見つめる。
ロ)「…おい。いい加減にしろ、死にたいのか。」
あれから幾日たったが、クレアが出した答えは、
否定。
つまりどちらの道も選ばない、という意味で。
死ぬにしても、クルーになるにしても、クレアの意思がないと実の能力は使えない。
ローにはそれがわかっているから、尚更イライラしていた。
ロ)「死にたいなら死ねばいい。だが能力は俺に渡してくれないと困る。
…ずっと死ぬような苦しみを与えられて生きていくより余程マシだろ。」
ローの言葉に、クレアは首を横に振る。
死にたくない。
もう一度皆に会いたい。
でもこの能力は誰かに渡していいものじゃないから。
悪用するだろうと決めつけるのは申し訳ないけど、こんなことをされているのに良い事に使うと信じれない。