第1章 目が覚めたら病院でした
今確かに相模様って…。
「ええ?だって相模しゅう様でございましょう?そうご登録いただきましたが?」
「ご登録いただきましたが?じゃない!俺はあんたに名前を教えた覚えはない!」
まさか新手の詐欺か!?
俺の個人情報駄々漏れってか!?
「いえいえ、私ではなく会社のキャンペーンに!ハガキで応募したでしょう!見事一等にご当選したんですう!」
「一等賞、時空トラベリング旅行券お一人様ご招待!!」
「なんか文おかしくないか!?」
男のテンションは駄々登り。止まることを知らない。
「なのでせっかくですし、こちらの勝手でお送りさせていただきましたあ!サプライズ!
」
「何言ってんの!?あんた?」
「伺ったところ相模様はゲームが大好きだとか!そこであなた様の好きな世界へ夢のような旅をお楽しみください!」
後半はほとんど強引に話を進めやがったこの男…。おかげで俺は口を挟む暇もない。
「だから何かの間違いだ!俺はそんなふざけた旅に応募した覚えはっ…って…あれ……はあ!?切りやがった!!」
急に電話してきてわけ分からん事を言ったと思えば、人の話を聞かずに切られてしまった…。
先程までキンキンとうるさい男の声がしていた携帯からはツーツーと機械的な音が響く。
何だったんだ…。
「いーってえええ!!」
携帯を横の台に置くと先程まで忘れていた怪我の痛みが戻ってきた。無意識にあちこち動かしていたようで、激痛は全身を駆け巡る。
腹が特に痛くて一人悶え苦しんでいると、近くを通りかかった看護師が「大丈夫ですか!?」と血相を変えて駆け寄ってきた。