第4章 また死ねなかった
「一松…?何で泣いて…!」
あわてて手を離した
ああ、こんな筈じゃなかったのに、抱きしめて、沢山撫でてやろうと思ってたのに!
「ひっ…」
…撫でようとしたら、怯えた目で見られた
あああ、全部台無しだ!今まで必死に隠してきたのにこんなことになるなんてっ…
今まで見たことないような顔で、がたがたふるえながら頭を隠す、こんな顔をさせたかったわけじゃないのになんてことをしてしまったんだろうか、一松、ごめん
「ごめんな…」
そっと抱き締めてやれば、びくっとして俺を見る
可愛い
こんな状況でこんなこと考えるなんて…
「に、さん…ごめんなさい、ごめんなさい許してください怖い怖い怖いやだよ、もう殴らないで」
可哀想に、でも悪いことをしたのはお前なんだぞ?
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
一松がおかしくなってしまった
大丈夫、もう殴らないよ。ああ、可愛い一松…
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