第4章 また死ねなかった
酷い頭痛のなか、目覚めた
見慣れた天井
そして気づいてしまった
また、死ねなかった
…今まで色々試したけど、出血死も無理でした、なんて
ODしながら切ればよかった
そしたら気持ちよく死ねそう
腕がビリビリする、神経傷付けたのかな
まあいいけど
「起きたのか」
…聞き間違いだと思いたい
「一松?」
ああ、現実だ
今一番会いたくないやつ
「なんだよクソ松、じろじろ見ないでくれる?」
早く、出ていって、いつもみたいに
「話があるんだ」
あはは、お説教?やだなぁ面倒くさい
どうせこんなことやめろとかでしょう?やめられたらとっくにやめてるし
「なに笑ってる、俺は話があるって言ってるんだ」
急に胸ぐらを掴まれた
たぶん凄く怒ってる、そのまま殴ってくれてもいいんだよ?意識飛ぶくらい思いきりね。想像しただけで勃起しそう
「なに?殴りたいなら殴ればいいよ」
早く、早く殴れよ
「お前、自分が何したかわかってるのか?」
ほらきたお説教、やだやだめんどくさい
お前は母ちゃんかよ
「誰が死んでもいいって許可した?誰もしてないよな、お前を傷付けていいのは俺だけ、それがお前自身だとしても俺は許さない許すわけないだろう」
…おかしい、目の前にいるのは本当にカラ松兄さんなの?
兄さんはこんなこと言わない兄さんなら泣きながら抱き締めるとかビンタして怒鳴り付けるとかするはずだろ?
俺の知ってる兄さんじゃない
「考え事してる余裕があるのか」
痛い痛い!
「離せ!痛い、やめっ…痛い痛い痛っうああああ!」
左手を強く握られる、痛い、力が強すぎて腕が握りつぶされそうだ
これは誰?
「悪いことする子には罰を与えてやるものだろ?」
怖い
「おそ松さん助けて…」
こんなのカラ松兄さんじゃない
「ぐふっ」
腹を殴られた、痛いよ兄さんやめて
痛い、苦しい、気持ち悪い
「他のやつの名前なんか呼ぶからだ、本当に悪い子だな…」
何度も、何度も、サンドバッグを殴ってるみたいに僕を殴る
おかしいな、涙が溢れて止まらない
怖い
怖い
怖い
大好きな筈のカラ松兄さんが怖い
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