第16章 最後の悪あがき
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「悪かった。こんなところまで呼びつけて」
あれからまたしばらくして、花織と鬼道はサッカーのグラウンドに出ていた。先日地区予選決勝が行われた場所だ。そろそろ花織が帰らねばならないからここまで移動したのだ。花織はサッカー部の仕事を放棄してここに来たのだが、あのままにしておくのは酷過ぎる。
「いいえ。……あの、あまり気を落とさないでくださいね」
いつものように覇気のない鬼道に花織は当たり障りのない言葉をかけた。鬼道はその言葉に自嘲するように笑いながら受け止める。
「無理を言ってくれるな。……だが、お前が来てくれて嬉しかった」
悲しげにだが微笑んでみせる鬼道に花織は酷く心を揺さぶられる。彼をひとりでおいていくことに気が引けた。いつもだったら花織の助けなど微塵にも必要としない逞しい彼なのに、彼の本心を聞いてしまうともろいガラス細工のようだった。
今ここで彼をひとりにしてはいけない気がした。
「鬼道さん、あの……」
「鬼道!!」
花織が話を切り出そうと口を開く前に、第三者の声が2人の間に割り入った。花織は驚いて振り返る。我がチームのキャプテン、円堂だ。だがどうして彼はこんなところにいるのだろう。
「円堂か……」
「鬼道、お前に話があってきた」
「生憎、俺はお前とは話したくないんだがな」
はっきりとした円堂の声に対して鬼道の声は否定的で冷たいものだった。花織には絶対に掛けないであろう声色だ。だが、それに怯みもしない円堂はずんずんとこちらへ歩み寄り、花織の前に立ち、花織と鬼道を分断する。そしてちらりと花織を振り返った。