第11章 ただひとつだけ
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一通り、もちろん鬼道の名は伏せて、風丸と関係を結ぶことになった今までのことを花織は簡潔に春奈に話した。話し終えた後、部室にはしんみりとした空気が漂っていた。
「はあ……。まるで恋愛小説みたいなお話ですね」
春奈が頬に手を当てため息をついた。2人はいつも仲睦まじく、他人の入り込む隙など与えないため風丸のほかに花織に好いている人間がいるなどと思いもしなかった。
「そう……?ただの女の話だよ。優しい、自分には勿体ないほどの人がいるにもかかわらず、他の男にも想いを寄せる不誠実な女」
花織が自嘲するように笑った。嫉妬深く不誠実、何と劣悪な人間だろう。
「でも風丸くんはそれでもいいからっていうんでしょう?それに花織ちゃんはそんな風丸くんの想いに答えようとしてるんだし。私は、結ばれるべくして結ばれた2人だと思うけどな」
秋が優しげな声で花織を擁護したが、花織は首を横に振った。
「私は、一郎太くんが高々メイド喫茶に行った程度でこんなにヤキモチ妬いてるのに……。それより酷いことを彼にしてるんだもの……。自分が一郎太くんだけを想えないのが嫌で嫌で仕方ない」
「本当にドラマみたいですねー。それでも花織先輩はその帝国の人のこと、好きなんですよね?」
春奈の疑問に花織は頷く。そしてどこか切なげな瞳で部室にあるサッカーボールを見つめる。
「うん……。ずっと変わらないままなの、どうしてだろうね」