第4章 毒薬の功名※
目を覚ますと、私の身体に広がっていたはずの毒はすっかり消えていた。
流石、クラリネス王国随一の先生特製の抗血清。魔法みたいな利き目だった。
切り傷と刺し傷のそれぞれそのものは痛んだが、しばらくすれば塞がるだろう。針の傷は神経を少し触っていたみたいで、半身に痛みが響いたが、動けないほどのものではなかった。
きっとこの目の前にいる、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてる半裸のお兄さんが、できる限り毒を吸い出してくれたのが良かったんだと思う。
それにしても、何故彼はこんなにも赤面してるのだろう。
昨日は人の柔肌に噛み付いて、思いっきり人の吸い上げてたというのに。
『恥ずかしいなら、はやく服着なよ。ほら。』
といったら、怒ったように鸚鵡返しされた。
そこで、はたと気付いた。
肩にきつく巻かれた晒を認識していたが、もともとこれは私の胴体に巻かれていたわけで。
ーーーあ。
『……わゎぁっっ!』
そう、彼女はずいぶん遅い悲鳴を上げたのだった。
そして、顔を真っ赤にして素の声で叫んだ。
『もうっ!早くおしえてよ!』
ぱしっという音が小気味よく響いた。