第3章 強盗とウェイター
(もう一人いたのか?)
思わず振り返ると、
「こんばんはー。さっきこいつが店の中に向かって矢を放ったみたいだけれど、大丈夫だったかい?」
と、弓矢を放ったであろう張本人らしき人物を抱えて、オリーブ色の瞳をした猫みたいなお兄さんが立っていた。
『あぁ、昼間の…。』
そう、よそ見をしたとき、切羽詰まって落ち着かない様子だった、先ほどの強盗の最後の一人が
「ぅ…ぅわぁぁぁぁぁっっ!」
と雄たけびを上げながら、細長い針のようなものを私に振り下ろした。
普段なら、いとも簡単によけられるはずのその一撃は、私の右胸の斜め上、肩甲骨と脇の間に、見事に突き刺さった。