• テキストサイズ

【赤髪の白雪姫】きみの瞳に恋をする

第3章 強盗とウェイター


ウィスタル城から東の町の外れにある集落で、店主が一人の飲食店ばかりを狙った強盗事件が立て続けに起きているらしい。

主からの仕事の依頼は、この強盗事件の情報収集だった。

(噂の現場はこの集落か…。)

本当は直接自分で現地を見たいらしいのだが、西の遠方の領地から子爵殿が城に訪ねてくるとかで、ミツヒデの旦那から城を抜け出すことを許されなかったらしい。


(まぁ、一人での捜索のほうが身軽でいいし、何より気楽だ。)


町から少し外れの集落と聞いていたが、実際に訪れてみると思っていたよりも旅人や商人などが道を歩き、それぞれ物々交換をしたり、露店で買い物をしたりといささか賑わっている。

(なるほど、ここは、旅人の立ち寄る休憩所兼給油ポイントってことか。)


一見どこも穏やかな雰囲気に包まれているようだったが、よくみればどこの店にも武器らしいものが会計場の近くに置かれていて、治安かいいとは必ずしも言えなさそうだ。

(強盗が狙っているものは…店の売上金、もしくは店主の持つ護身用の武器や装備などが目当てってとこか…。)

想像した強盗の目的が正しいとすると、相手がどんなやつらなのか、どんな手口なのかを知りたい。
そして何より次に狙われる可能性の高い店に目星をつけたい。


周囲の様子をさりげなく窺いながら歩いていると、前から二人組の男たちがこちらへ向かってきた。
一見ただの旅人のような出で立ちだが、腰に刀を下げていて、背中にも武器を隠しているようだった。

しかも、賑わっている界隈にあるいろいろな店の中を覗き見ながら歩いていて、なんだか様子がおかしい。

こういう雰囲気をすぐに感じとってしまうのは、ある種の同族嫌悪みたいなものかもしれない。

どことなく殺気めいた空気を纏って歩く奴らの後をつけることにした。


ほどなく、前を歩く二人組が一つの店に入っていくのが見えた。
/ 84ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp