第3章 強盗とウェイター
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(あぁ、いい天気だな。)
木の上でのんびりとあたりを見回しながら、伸びをする。
真っ赤なリンゴのような髪の白雪という名のお嬢さんが薬室長のガラク先生とリュウ坊に見送られて、城門へと向かっていくのが見えた。
そういえば、今日は薬草を探しにいくという話をしていたような気がする。
「オビ!いるか?いるなら10秒以内に出てこい!」
遠くで主の呼ぶ声がした。声の元を辿れば、主の部屋のバルコニーに銀髪にロイヤルブルーの瞳をもった王子の姿が見えた。
「お呼びですか?主」
窓から部屋に入ってきた青年は、つい最近俺の従者になったオビだ。
「お嬢さんなら、薬草を探しに城をでていったところですよ。」
と悪戯っぽくオリーブの瞳を細めながら、任務完了!とばかりの余計な一言が放たれた。
「まだ白雪のことは聞いていない!」
と反射的に返せば、
((あ、まだなんだ。聞くつもりだったんだ。))
ミツヒデと木々が哀れみを込めた視線でこちらをみていた。
「人を茶化すのはよせ。それで、さっそく本題に入るが、オビに一仕事を頼みたい。」
オビは一つ返事で了解した。