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【うたプリ】君の歌が聴きたくて

第2章 君の優しさ




『……つ、翼……?どうして……?』


目の前の彼は透けているだけでなく、もう足の膝くらいまで消えてしまっている。




翼『……ごめんな、優姫……。
俺はもう、いなくなってしまうんだ。』



『っ!……う、嘘でしょ?翼がいなくなるなんて、そんなのイヤだっ。
……せっかく逢えたっていうのに…………。』


溢れ出す涙で私の視界はぼやける。



彼の体は下の方からどんどん消えていってしまう。


『……それに二人で夢を叶えるんじゃなかったの?
翼がいないんじゃ、そんなの、無理だよ…………。』




彼は消えかかっている手で私の頬をそっと撫でる。



翼『優姫なら大丈夫だ。

……それに、俺の代わりにお前と夢を叶えることの出来るやつがいるはずだから。


まぁ、ちょっと悔しい気もするけど、そいつと俺達の夢を叶えてくれよな。……約束だ。』




私を見つめる彼の優しい瞳には、一粒の美しい涙が浮かんでいた。


頬から彼の手の感触がなくなり、彼の姿がどんどん遠ざかっていく。



『ヤダっ!行かないで…………っ。
…………翼ぁぁっっっ!!』




彼に向けて伸ばした手は、むなしく、宙をからぶった。





私の手に残ったのは、彼の美しい涙だけ。






しかし、やがてそれも消えてしまった。






彼が完璧にいなくなった後、この世界は寂しく、そして悲しいモノクロの空間となってしまった。



そんな空間に残された、たった1人の私。








そんな私はただただ考えていた。





…………彼の代わりとなる人がいるのか、ということ。



そして、




…………彼がいなくなったこの世界で一体どう生きていけばいいのか、ということを。






(…………誰か、私を助けて………………。)






ただ、ひたすらにそう願った。






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