第2章 君の優しさ
_________
_____
__
----キーンコーンカーンコーン
「……っは!」
私が目を開けて最初に見たのは、机の上にある問題用紙だった。
「……あれ、私……。寝ちゃってた……?」
机から体を離し、ちらっと時計を見ると、針は完全下校の10分前をさしていた。
(一ノ瀬さんはさすがに帰っちゃったよね……。)
急いで帰りの支度をしている時、あるものが目に入った。
「あれ、これって…………。」
私はその1枚の紙を手に取る。
そこには、綺麗な文字でこう書かれていた。
_________________
清水さんへ
勉強お疲れ様でした。
その問題は全てあっていましたよ。
貴女ならきっとテストで良い結果が得られると思います。
頑張って下さいね。
それと、睡眠不足は良くないので、しっかり睡眠をとって明日に備えて下さい。
一ノ瀬 トキヤ
_________________
そして、メモの近くにはもうすでにぬるくなってしまったペットボトルのお茶が置いてあった。
「……っ。一ノ瀬さん…………。
…………ありがとう……。」
私は誰もいないのに1人微笑み、そんなことを言っていた。
私はふと、さっきまで見ていた夢を思い出す。
(もし、翼の代わりに、私と夢を叶えることの出来る人がいるのならば…………)
……ガラッ
私はかばんを持って、図書室のドアを静かに開け、廊下へと出た。
(もし、いるのならば…………)
…………それは一ノ瀬さんであってほしい
一ノ瀬さんと2人で翼との"約束"を果たしたい、と
私はほとんど生徒のいない、この寂しい校舎の廊下の窓から1人、夕暮れの空を見上げ、そう願ったのだった。