第2章 君の優しさ
*優姫視点*
『………………あれ、ここは?』
目覚めた時、私は広い広い草原にいた。
周りには何もないし、誰もいない。
……一歩歩き出した、その時。
?『…………優姫。』
『……っ!?』
どこからか私の名を呼ぶ声がした。
その声を私は知っている。
……一生忘れられない、忘れることの出来ない、愛しい彼の声だからだ。
『…………翼?どこにいるの?』
私は彼___翼を探す。
しかし、どこにも姿が見当たらない。
『………………翼……。どこ……?』
翼『…………ここだよ。』
急に後ろから声がしたので振り返ってみる。
そこには、愛しい彼の姿があった。
彼は【2年前と変わらぬ容姿】でそこに立っている。
私が彼に抱きつくと、彼も優しく抱きしめ返してくれた。
『………………翼…………。
…………大好き…………。』
翼『……あぁ、俺もだ…………。』
私の頭を撫でる彼の手がとても懐かしく思えた。
翼『…………優姫…………。』
私の名を呼んだ彼は、ゆっくりと私の体を離す。
『……どうしたの?
…………っ!?』
離れた彼の体を見た瞬間、私は驚く。
…………彼の体がまるで幽霊のように透き通っていたからだ。