第2章 君の優しさ
--------数日後
今日はテスト前日。
というわけで放課後の勉強会中です。
「……っと、で、出来たっ!」
今、苦手な数学の結構難しい問題が解けた…………と思う。
「……あってる?」
回答が書かれている用紙を真剣に見ている一ノ瀬さんの顔を、首をかしげて見てみる。
トキヤ「……ええ。正解ですよ。
…………よくできましたね。」
彼は私の目をしっかり見て微笑んでくれた。
その表情を見た瞬間、私の顔が一気に赤く染まった。
(……一ノ瀬さんが褒めてくれるなんて……。
しかも……笑ってくれた…………。
……嬉しすぎるよぉ…………。)
「あ、ありがとう……。…………あっ!」
私はあまりの嬉しさに持っていたペンを落としてしまった。
拾わなきゃ……とペンへ手を伸ばした時、同時に一ノ瀬さんの手が伸びてきた。
彼も拾おうとしてくれたのだろう。
私の手はそのまま彼の手に触れた。
けど触れた瞬間、二人の手は磁石の反発のようにすぐ離れた。
「……っ!!ご、ごめんっ!」
私の顔はさっきよりも赤くなる。
トキヤ「いえ、こちらこそ、すみません……。
……では、次の問題をやっていて下さい。
私は飲み物を買ってきますので。お茶でいいですか?」
「あ、うん…………。お願いします…………。」
一ノ瀬さんはお財布だけを持って図書室から出て行った。
(あぁ、もう……。まだドキドキしてる…………。
触れたところが、熱い…………。)
私は落ちているペンを拾い、次の問題の紙を取った。