第2章 君の優しさ
*優姫視点*
「…………っ!」
一ノ瀬さんの私を抱きしめる力が強くなった。
私の胸の鼓動が速くなる。
(……あれ?一ノ瀬さんの鼓動……私と同じ速さになっている…………?)
二人の重なった鼓動の音が、まるで音楽になっているようだった。
私はその二人で紡いでいる旋律が、とても心地よく感じた。
トキヤ「……清水さん。」
「え?何…………っ!」
名前を呼ばれ顔をあげると、すぐ目の前にあったのは一ノ瀬さんの綺麗に整った顔。
二人の目が合う。
(ち、近いぃっ!)
……ドキンドキンドキン…………
私の胸が刻むビートはどんどん加速していく。
二人の吐息が一ノ瀬さんと私の間で混じり合う。
恥ずかしくなって目をそらそうとしても、一ノ瀬さんの瞳が私の瞳を捕らえて、逃がそうとしない。
……ドクンドクンドクンッ
(……これ以上、このままでいたら…………っ!)
…………その時
……キーンコーンカーンコーン……
「っ!」
トキヤ「……っ!」
昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。