第2章 君の優しさ
*トキヤ視点*
「…………。」
彼女は無言でただ私に体を預けてくれている。
だから私もただ、彼女の温もりを感じていた。
(何故私はこのようなことを…………?)
正直、自分でもよくわからない。
しかし、
レンが彼女に触れていたことに苛立ったのは確かだった。
これは、世間的にいうと『嫉妬』というものだろう。
私は、嫉妬したからあのような行動をした…………、ということなのだろうか。
そもそも、何故私は彼女に勉強を教えているのだろうか。
いつもなら頼まれても丁重に断るはずなのに、自分から提案するなんて…………。
彼女といると自分が自分じゃなくなるみたいだ。
(……全く、貴女という人は、いつも私を狂わせる…………。
まさか、こんな感情を私に抱かせるなんて…………。)
私は先程より強く彼女を抱きしめた。
私は清水さん、貴女を…………
…………誰にも触れさせたくない。