第2章 2話〜子供だった時期〜
生まれた時からずっと、俺にある異常。
俺。金宮 蒼空には、色が見えない。
嫌、正確には俺の世界は三色で出来てる。白・黒・灰色。たったそれだけ。だから空の色も灰色。そこに真っ白な雲。周りにある物は全部同じに見えていた。少し濃さが違うだけ。ただそれだけ。
何かに心を揺さぶられる事もなく、淡々と日々を過ごしてた。それが間違いだったのかもしれない。でも、仕方ないって言えば仕方ないのかも。今でも何が正解かわからないから。
ここで、俺の初恋に話を戻そう。
その日もいつも通り、俺達は遊んでた。ただ、今思えば少し莉緒がそわそわしてた気がする。俺の事をじっと見ては、少し眉を寄せて溜め息をつく。それを2、3回繰り返してた。
それでもアクションを起こさなかった俺に、遂に莉緒は痺れを切らせ、睨み付けながら言った。
「蒼空くん!莉緒に何か言う事あるでしょ!?何で何も言ってくれないの!!」
「……えっ!?」
何に対して怒っているのかわからない俺は、必死に考えた。そりゃあもう、小さな頭をフルに回転させて考えまくった。
数分間の沈黙…それが更にお気に召さなかったらしい。
「もう良い!蒼空くんのばか!皆はちゃんと可愛いって言ってくれたのに…今日の莉緒の服。」
「あ、あぁ…服か。」
どうやら彼女は新しい服を俺に自慢したかったらしい。確かにいつもより2割増しのフリルだった気がする。
でも、男+色がわからない俺に気の利いた事など言える筈もなく、なんだそんな事かよって心情を態度に出してしまった。
「…なにそれ。蒼空くんの為に選んだのに。」
「え?俺の為に?」
普通の男子なら、ここで胸キュンしただろう。しただろうってか、するしかない。俺にも色がわかったら絶対してたから!!なのに俺は絶対に言ってはいけない事を言ってしまう。
「うん…喜んでくれるかなって思って。」
「…喜ぶとかそんなの、俺には無理だよ。だってさ、その服――」
止めろ、止めるんだ俺、はやまるんじゃない。頼むから!本当に!お金あげるから!止めてくれ!それ以上は!!!